街全体がデザインの舞台になる|3days of design 2026
2026.07.03
2026年6月10日から12日までの3日間。
今回のコペンハーゲン旅の大きな目的だった、3days of designが始まりました。
私にとって初めての3days of design。そして、初めての北欧。
始まる前から楽しみにしていましたが、実際に歩き始めてみると、想像していた以上の情報量でした。
建築を見ても、家具を見ても、照明を見ても、街角を曲がっても気になるものばかり。
一緒に旅をしたインテリアデザイナーのあおいさんと、3日間で何度「かわいい」と言ったかわかりません(笑)。

3days of design 2026街並み
街そのものが、展示会場になる
3daysofdesignは、一つの大きな展示場の中にブランドのブースが並ぶイベントとは少し違います。
2026年はコペンハーゲン市内が8つのDesign Districtに分けられ、ショールームやギャラリーなど、さまざまな場所を巡りながらデザインに触れる構成になっていました。
公式でも、会場から会場への移動そのものを通して、コペンハーゲンの建築やカフェ、ショップ、街の雰囲気を楽しめることが紹介されています。
だから、目的のブランドへ向かう時間も楽しい。
歴史ある建物に入り、展示を見て、また外へ出る。
次の会場へ向かう途中には海や緑があり、気になる建築があり、そこに暮らす人たちの日常がある。
展示だけを見ているというより、街を歩くことまで含めて3daysofdesignを体験している。
そんな感覚でした。

コペンハーゲン市内街並み

歴史ある建築物の会場

会場:ASIA HOUSE|ブランド:ARIAKE(レグナテック)
デザインを巡りながら、暮らしを見る
街を歩いているからこそ見えたものもありました。
テラスで思い思いに時間を過ごす人たち。
住宅の窓辺には、植物や照明、オブジェなど、それぞれの「好き」が感じられるものが飾られています。
そして意外だったのが、私たちが歩いたエリアでは、カーテンを閉め切っている家が少なかったこと。
もちろん、覗いていたわけではありません(笑)。
街を歩いていると、窓越しに室内の様子が自然と目に入ってくるんです。
そこに見えるのは、展示のためにつくられたインテリアではなく、実際に誰かが暮らしている空間。
窓辺の飾り方ひとつを見ても、それぞれの「好き」がある。
インテリアのイベントに来ているのに、家具や照明だけではなく、その街の人がどんな場所で、どんなふうに時間を過ごしているのかまで一緒に見ることができる。
これは、街全体を巡る3daysofdesignだからこその面白さでした。

Copenhagenの日常
歴史ある建築に、今のデザインを重ねる
会場そのものが魅力的だったことも、今回強く印象に残っています。
なかでも建築として好きだったのが、ARIAKEの展示会場だったASIA HOUSE。
赤煉瓦の外観から室内へ入ると、使い込まれて艶を増した木の腰壁や建具、木の天井、窓のデザインなど、時間を重ねてきた建築の表情が残っています。
その中に、現代の家具や照明が置かれている。
時間がつくる風合い、新旧を混ぜること、壊さず受け継ぐことに惹かれます。
古いものをただ残すのではなく、そこへ今のデザインが加わることで、古さも新しさもそれぞれが生きてくる。
新しいものだけでつくった空間とはまた違うオリジナリティが生まれ、唯一無二の空間になっていくように感じました。
そして、こうした歴史ある建築の中でブランドの世界観を見ることができるのも、コペンハーゲンで開催される3daysofdesignならではの魅力だったように思います。

ASIA HOUSE|赤煉瓦の外観

ASIA HOUSE|内装ディテール

ASIA HOUSE|内装ディテール歴史的な室内と現代の家具・照明
自然の光と、演出される灯り
そして、コペンハーゲンに来てからずっと気になっていたのが光でした。
窓から入った自然光が、部屋の奥まで長く伸びていく。
壁や床、家具を照らし、その先には影ができる。
その光景がとてもきれいでした。
一方、照明の使い方も印象的でした。
日本で普段見慣れている感覚からすると、
「少し暗すぎる?」
と思う空間もあります。
でも見ているうちに、すべてを均一に明るくする必要はないのかもしれないと思うようになりました。
食事をするところ。
本を読むところ。
誰かと話すところ。
必要なところに、灯りを持っていく。
ペンダントライトやフロアランプ、テーブルランプなどで、それぞれの場所に光をつくっていく。
明るいところと、暗いところ。
自然の光と、人の手によって演出された照明の灯り。
そして、影。
影があるからこそ、光が美しく見える。
そんな当たり前のことにも、改めて気づかされました。
3daysofdesignでは、Louis Poulsenをはじめ、NUURAやHEIT PAINなど、さまざまな照明にも出会いました。
NUURAでは、照明そのものだけでなく、窓辺のファブリックとの組み合わせも印象的でした。
自然光、カーテンの質感、照明の灯り、そこから生まれる陰影。
照明器具だけを切り取るのではなく、光を取り巻くものまで含めて空間を考えること。
これからの提案でも、もっと意識してみたいと思います。

自然光と照明|&Tradition

自然光と照明|&Tradition

自然光と照明|NUURA(ヌーラ)

自然光と照明|Designmuseum Danmark (デザインミュージアム)
そして、階段
家具や照明を見に来ているはずなのですが、気づけば何度も撮っているものがありました。
階段です。
私は階段が好きで、旅先でもつい撮ってしまいます(笑)。
踏板や手すりの素材、曲線、壁との取り合い。
そこへ光が入り、影ができる。
今回もインスタのストーリーズに何度階段が登場したかわかりません。
&TraditionやNUURAの会場でも、照明を見ながらしっかり階段を撮っていました。
こうして写真を見返してみても、やっぱり好きなんだと思います。

Copenhagen|階段
家具だけではなく、その先の時間まで
憧れていたブランドのひとつ、Audoでも、印象に残ったのは家具だけではありませんでした。
家具や照明、素材の組み合わせはもちろん素敵でしたが、そこで人が食事をしたり、会話をしたりしている。
開放的な中庭で寛いでいる人もいる。
明るい木に黒を効かせた色や素材のバランス、器や仕切りなどには、私自身どこか日本の和モダンにも通じるものを感じました。
でも、それ以上に心に残ったのは、人がいることで空間が完成しているように見えたことです。
家具を並べてブランドの世界観を「見せる」だけではなく、その空間でどう過ごすのかまで含めて世界観がつくられているように感じました。
家具の先に、食事があり、会話があり、人が過ごす時間がある。
今回の3daysofdesignでは、そんな「ものの先にある暮らし」に惹かれることが何度もありました。

Audo|展示併設のレストラン

Audo|展示

Audo|中庭

Audo|展示会場
「Make This Moment Matter」
2026年の3daysofdesignに掲げられていたテーマは、
Make This Moment Matter.
公式では、過去でも未来でもなく「今」に意識を向け、自分たちの選択やデザインを、より意味のあるものとして考えるテーマとして示されています。さらにDesign Districtについても、デザインを私たちの暮らしと深く結びついたものとして体験することが意図されていました。
最初からこのテーマに自分の体験を当てはめながら見ていたわけではありません。
でも、3日間を振り返ってみると、結果としてこのテーマと重なる時間を過ごしていたように感じます。
歴史ある建築の中で、新しいデザインを見る。
窓から入る光と、その光がつくる影を見る。
次の会場まで街を歩きながら、そこに暮らす人たちの日常を見る。
デザイナーやブランドの方から、ものづくりについて直接話を聞く。
そして、一緒に歩く人たちと、
「かわいい」
「これ好き」
「これどうなってるんだろう」
と話しながら、また次の場所へ向かう。
振り返って残っているのは、たくさんの家具や照明と同じくらい、そのとき、その場所で過ごした時間そのものでした。
3daysofdesignは、デザインを見るイベントでありながら、Copenhagenという街と、そこにある暮らしを体験する3日間でもありました。

Copenhagen|水辺の街並み
情報量が多すぎた。でも、心地よい疲れ
それにしても、本当に情報量の多い3日間でした。
家具、照明、アート、建築、素材、スタイリング。
さらに、その間を歩くコペンハーゲンの街。
新しい刺激が次から次へと入ってきて、ずっと脳がフル回転。
楽しかったけれど、疲れました(笑)。
でも、心地よい疲れでした。
見たものだけでなく、その余韻も大きくて、帰国してからこうして整理して言葉にするまでにも時間がかかりました。
それでも、知らなかったものを見て、知って、心が動く。
このワクワク感が、私はやっぱり好きなんだと思います。
日本にも素敵なブランドやデザインはたくさんあります。
海外だから優れているということではなく、知らない土地に身を置き、いつもとは違う文化や暮らしの中を歩くことで、普段とは違うところに目が向く。
そんな高揚感も、この3日間にはありました。
人とのつながりが、知らない世界を見せてくれる
そして、これだけの場所を見ることができたのも、自分一人の力ではありませんでした。
今回の旅に誘ってくれた、インテリアデザイナーのあおいさん。
現地では、家具にとても詳しいリグナの村野さんとも一緒に回り、おすすめのブランドを教えていただいたり、人とのつながりがあったからこそ見ることのできた場所もたくさんありました。
振り返ると、この旅もまた、いろいろな人に助けてもらっています。
デザインとの出会いだけではなく、人との縁によって、知らなかった世界を見ることができる。
それも今回の3daysofdesignで感じたことのひとつでした。

Copenhagen|一緒に巡る時間
3daysofdesign 2026|3日間で訪れた場所
改めて書き出してみると、よくこれだけ回ったなと思います。
Eilersen / Normann Copenhagen / GUBI / TIME & STYLE / Vitra / Rockfon / BIG / Audo Copenhagen / MAKE nordic / FORMARKIVET / ARIAKE / 天童木工 / Jan Kath Design / FDB Møbler / Piet Hein / Jakobsen Copenhagen / Carl Hansen & Søn / Overgaard & Dyrman / RUE VERTE / Helle Mardahl Studio / KLASSIK / Tolv / Louis Poulsen / Bolia / ferm LIVING / Flos / HAY / Fritz Hansen / Fredericia / Vipp / 101 Copenhagen / NORR11 / J. Adams & Co / &Tradition / Petra Hotel / MAZO / raawii / Portrait of Korean Living(rareraw / flat point / ILKW) / Nuura / Artemide / Foscarini / BOMMA

Bolia

Eilersen

Louisiana Museum of Modern Art|Cafe

Copenhagen|街歩き

RUM & Open Sandwiches
まだ、書ききれていないことがたくさんあります。
インテリアやデザインで言えば、ストライプを随所で見かけたこと。
トラバーチンなどの石やスチールといった異なる素材を組み合わせた空間。
立体感や触感まで意識したファブリック。
アートや小物の自由なスタイリング。
以前から憧れていたGUBIや101 Copenhagen。現地で初めて知ったFredericia。そして、デザイナーさんやクリエイターの方から直接ものづくりについて聞くことのできたO&D。
たくさんの空間を見ているうちに、私自身が無意識に持っていた「インテリアはこうあるべき」という感覚についても、少し考えるようになりました。
インテリアって、もっと自由でいいのかもしれない。
次の記事では、3日間で目にしたデザインや素材、スタイリングをもう少し掘り下げながら、この感覚について書いてみたいと思います。